「立体」ってなんだ?

こんにちは。たーざんです。
カオスなブログを目指して,今回は環境と全く関係のないことを書きます。

さて,「立体とはなんぞや」という題材でお話をさせてもらいますね。
人によっては子どもの頃から親しんでいる話になってしまいますが,暇な人はどうぞ読み進んでいってください。
皆さんは「ものが立体に見える」ってどのようなことだと思いますか? 「立体な物が立体に見えるのは当たり前だ」と思う人も,きっといるでしょう。

では,↑の絵は立体に見えますか?
……普通は見えませんよね。立体の物を平面上に写しただけですから,本来は立体なんだと推測することはできても,立体感を感じることはできません。
ですが,「ある方法」を使えばこの絵が立体映像のように浮き出て見えてきます。
「立体が立体に見える」のは当たり前だとしても,「平面が立体に見える」のは,本来とても不可思議な現象だと思いません?

さきほどお見せしたのは,いわゆる「左目用の像」です。そして,2枚目の絵は「右目用の像」。
左目用の像を左目で,右目用の像を右目で見ることによって,色覚情報しかないはずのこれら2枚の絵に「奥行き」という感覚が付加されます。つまり,絵が立体画像に変貌してしまうのです。
では,具体的にどうすればいいのでしょうか?
下の図は,右目用の絵を左側に,左目用の絵を右側に並べたものです。(ステレオグラムといいます)

この場合「右目で左の絵に,左目で右の絵に焦点を合わせる」ことで,絵が立体に見えることになります。
目的を達成するには,自分の顔とディスプレイの間で目線を交差させる必要性が生じますね。
『目線が合わさるところ=焦点』ですので,ディスプレイより前に焦点を合わせる……つまり「寄り目」をすればいいわけです。
自分とディスプレイの中間くらいの位置に,指先を持ってきてください。そして,指先に焦点を合わせてください。
パソコンの画面が2つに分裂して見えるでしょう? そして,ぼやけた半透明の鳥居が4つ,(一部が重なったりしながらも)横に並んで見えるはずです。その中の,内側2つが完全に合体するように,指を前後に動かして調節してください。焦点は指に合わせたままです。
合体に成功し,画像が3つしか見えなくなったら,焦点を指から画面にずらしてください。目を動かしてはいけませんよ!
(解説用の図はいつかアップします)
慣れていない場合は,うまく画像の合体に成功しても,焦点が合わせられずにぼやけて見えるかもしれません。何分かその状態を維持していると,いきなり焦点が合うようになります。焦点が合えば,目を動かさないよう努力しなくても大丈夫になります。また,一度でも立体画像がはっきり見えるようになれば,以後は一瞬で焦点が合わせられるようになります。最初だけの辛抱ですw
……立体に見えましたか?
今回用いた方法は,視線を交差させるので「交差法」と呼ばれます。他の方法はまたいずれ。
ここでは,日常生活の中で立体を普通に見た場合と同じ状態を人工的に作りました。私たちの脳は,単なる平面でしかない画像を「立体と勘違いして」存在しない奥行きを知覚したのです。
人が2つの目を持っている理由の1つは「両眼視差」を知るためです。両眼視差を簡単に説明すると,上で見せたステレオグラムの,左右の微妙な違いのことです。私たちは,物理的な距離と視覚の関係を幼少期に把握し(生まれつき把握しているという説もあります。どっちだったか忘れた),両眼視差から奥行きの知覚を得る能力を持っています。自分たちが見ているこの世界は,人間としての「経験」から作り出されたものに過ぎないのです。
奥行きだけの話ではありません。生き物はそれぞれが別々の経路で世界を認識しています。その手段は超音波だったり,明度だったりと様々です。でも常識的な生物は「それにぶつかるか,ぶつからないか」の感覚だけは共通して所有しています。ところで皆さんは「超音波で物の距離を測ってるだって? すごい難しそうなことをやってるなぁ」と思ったことはありませんか? 私たちだって「2枚のカメラのレンズ」を体に埋め込んでるだけなのに,物の距離が正確に測れてしまっています。一体どっちのほうが難しいんでしょうねぇ。無意識にやってるという点では変わらないのですが……。
以上,心理学の教養講義で数分で流されてしまうお話でした。
あと半分は面倒なので書きません。
おまけ
↓の画像は「平行法」用のステレオグラムです。多分,こっちのやり方のほうが一般的だと思います。

やり方はとっても簡単。「寄り目の反対」をすればいいのです。
……え,わからない? それではもっと簡単な方法を書いてみます。
まず,目の焦点を全く考えずに,画面ギリギリまで顔を近づけてください。ディスプレイが分裂し始めた瞬間,あなたの目に,ぼんやりと4つの鳥居が見えているはずです。さらに顔を近づけていってください。
やがて,画面と目の距離が10cmくらいまで近づいたとき,4つだった鳥居が3つになる瞬間が訪れます。
あとは,その「鳥居が3つに見える状態」を維持しながら,ゆっくりと画面から顔を離してください。やがて画面に焦点が合い,3つの内,真ん中の鳥居の画像が立体に見えるはずです。